伝説の勇者の伝説 第4話 「ライナ・レポート」感想
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≪★総合評価☆≫

【キャラ】  ★★★★
【ストーリー】★★★★
【芸術性】  ★★★
【世界観】  ★★★★
【BGM】   ★★★
【オススメ度】★★★★

4話の感想を真っ先に書きました。
何故ならこの話が一番面白いとおもったからです。
伝説の勇者の伝説は、原作のラノベを11巻までの内容を既に読んでいましたが、2クールというラノベの長さを考えるとやや短い尺であることが唯一心配でした。
個人的にとても大好きで応援していた作品だったので。

しかしこの伝勇伝4話『ライナ・レポート』の話はじっくりとかけ足にならず作りこまれていて、全体的にはとても納得の内容でした。

話はエリス家に訪れたシオンが、王にのみ使える家の主であるルシル・エリスに、王として相応しいかどうかを試される場面から始まります。

シオンの返答しだいでは、シオンを殺すと脅しをかけ、本心を探ろうとするルシル。
ここでの、『行き過ぎたセリフ』は、とても脅威を感じ、ルシルの強さや得体の知れなさ具合がとても伝わるシーンでした。

一方その頃、主人公ライナは投獄期間に入っており、牢屋に投獄され看守のおじさんと何故か仲良くなってしまうという展開に。
この立場の違う相手に対し、仲良くなってしまうのは、とても『ライナ・リュートらしさ』が出ており、気さくで面白い奴という印象を受けます。原作でも、この辺を読んでいた辺りから、何かワクワク感がある、楽しいなと思いながら読んでいました。



ライナは、ここで2年の投獄期間を過ごします。
その間、自身が看守にお願いした図書館の書物を読みこみ、レポートを執筆。
それがこの伝勇伝の4話のタイトルである『ライナ・レポート』の事です。
ここでの牢獄での薄暗い中の静かな暮らしも、今後への何か起きそうな期待感が膨らんでいきます。

その後ライナの釈放と思いきや、看守のおじさんが、悲しげな顔で物言わず牢獄の扉を開け、ライナもその表情に察したのか『俺の死刑が決まったんだな』と返答。
この辺も原作を読んでいた限り、ライナは死刑にはならないだろうけど、どのように殺されずに済むのだろうかと、ワクワク感をもって読んでいました。

看守のおじさんに連れて行かれ、ここでは逃げると看守のおじさんの責任問題となってしまうので、途中までは、ライナは素直に促されるまま言う事を聞きます。

そして、看守のおじさんとのお別れとともに、そこでようやく。

絶世の美女、フェリス・エリスの登場です。
二人が初めて遭遇するシーン。

ここでのフェリスを映す絵の入り方、カメラワーク、何か過去の事を思い出すかのような感じで映し出されるのは、とてもかっこよく痛快な場面でした。

逃亡を試みようとするライナでしたが、すぐさまバトルに発展。
ライナはエスタブールの加速魔法を使いますが、魔法を付与していないフェリスはその身のまま、ライナの速さに簡単についていき。
ライナはお縄になります。
ここでの掛け合い『お前手加減したな?』からのセリフのやり取りは、少し寒そうな気がしますが、フェリスらしさとライナらしさが出ていて、逆にかっこ良く好感を持てました。

お縄になったライナは、いやいやフェリスについていくとその先を待っていたのが。

玉座に座るシオン・アスタールでした。

この2年で革命が起き、王に成りあがっちゃったみたいな、コメディチックな二人の再開。

王であろうと、ライナにとっては、ただのシオン。口調も態度もそのままに野暮な受け答えをします。

シオンは、ライナの書いたレポート『伝説の勇者の遺物の力が戦争の抑止力になる』という内容のレポートを気に入って、『世界各地の伝説の勇者の遺物をフェリスと二人で集めろ』と命令を下します。

これを受けなきゃ、ライナは死刑。団子好きのフェリスは、ウィニット団子店を取り潰すと脅しかけ。

フェリスは、それを嫌がりライナと強行無理やり旅に出るぞという展開に。

このフェリスというキャラは頑な強い意志を持っているキャラで言う事を聞きそうないですし、ライナもやる気がないので、二人を動かすにはこういう外圧が必要だよなと、クリエイターとして外圧をコンディチックに与え、キャラコントロールするという事についてとても参考になりました。

そして、最後はライナ・レポートの書きだしの語りが入り、二人の旅が始まったところで終了します。

最後にこのライナ・レポートという話は、物語のスタートとしてとても重要なお話だったと思います。
とてもこの伝勇伝というお話の世界観が見えるし、その世界を旅していくあたって。何故旅をするのか?
何のために旅をするのか?
という問いに、素直に勇者の遺物を集めるため、という答えだけではなく、レポートで語られた言葉のように、人生を選べなかったものの気持ちを深く考え、自分の境遇というのを、この世界の人生の中で見つめ直し、その答えを探す、見つける、あるいは、困難に抗い続けるための行動を、この旅を通して行っていくという背景がとても見えるお話でした。

原作のライナ・レポートの話は、1巻のちょうど終わりの文章です。

今でもとても熱い余韻の残るものとなって、心に刻まれています。

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